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アセスメントサービスの弊害

ソフトウェア業界では、しばらく前から、開発組織の成熟度を診断するというふれこみで、CMMIやSPICEという名前の付いたアセスメントサービスを業とする人々が出てきている。

そういうアセスメントサービスでは、それぞれの流派で診断につかうモデルがあり、ソフトウェアを開発するために必要な事柄が定義されている。

そのモデル自体は良い。経験に基づいてよく整理されているので、実際にソフトウェアを作っている人々が自分たちの問題点を見つけだして、開発にともなう苦労を少なくするのに有効に使える。

しかし、アセスメントサービスには問題も多い。

まず、ソフトウエア開発自体の役には立たない。
つまり、アセスメントを受けたからといって、その組織のソフトウェア開発能力が高まるわけではない。これは当たり前だ。

また、アセッサ(アセスメントを行う人)の説明が抽象的すぎて、組織の問題点に直接言及していないことが多く、アサッセが言っていることは一般論としてはわかるが、さて実際に自分たちのことに置き換えようとすると、何をして良いのかわからないということが非常に多い。

この2点だけでも、ソフトウェア開発組織の目的には、直接には役に立たないサービスだと言える。

さらに別の問題がある。
それは、アセスメントで「成熟度が高い」と評価されると、その組織の作るソフトウェアの品質が高い、という誤解を、他の組織に与えてしまうことだ。
これは、日本の会社が、中国やインドの会社にソフトウエアを外注する場合などに問題になる。日本の会社にしてみれば、アセスメントサービス会社が与えた「成熟度が高い」というレッテルを信じて発注するのだが、実際はそのレッテルは「高品質のソフトウェア」を意味していないので、納入されたソフトウェアはバグだらけ、ということが起こっても不思議ではないということだ。

これに至っては、受注したい会社が、アセスメントサービス会社を利用して作為的に誤解を生じさせるといったことも可能であるため、さきの問題よりも大きな弊害かもしれない。

最後に、アセスメントサービスは非常に高額だ。
一回の診断(1~数週間)で500万円という値をつけてくる会社もある。
余程、資金に余裕のある会社以外は、おいそれと出せる金額ではないだろう。
さらに悪いことに、ヨーロッパの自動車業界ではAutomotiveSPICE(SPICEの一種)の一定の成熟度であることを、部品の調達先企業の選定条件にしているし、日本でもSPICEを選定条件にしようとしている組織も出てきている。
そうすると、力はあるが資金力に乏しいソフトウェアハウスが、飛躍のチャンスを逃すことにつながり兼ねない。
これも、アセスメントサービスがもたらす弊害と言える。

以上から、日本のソフトウェア業界は、最近広がりつつあるアセスメントサービスについては、何も考えず受け入れるのではなく、弊害をとくに重視して、関わり方を決めていく必要があると思う。

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